「河童(がわ)太郎物語」 野洲川下流域に伝わる河童伝説

「河童(がわ)太郎(たろう)物語(ものがたり)」

「河童(がわ)太郎(たろう)は昔(むかし)からカッパのことであるが、古来(こらい)吉川(よしかわ)ではガワタロウと言って七月(しちがつ)の祇園(ぎおん)祭(まつり)の日には湖水(こすい)や堀(ほり)で水遊(みずあそび)をするな、尻(しり)に食いくいついて血ちを吸すいよるぞ」と言われたものでした」

ガ太郎(たろう)松(まつ)の話(はなし)
吉川(よしかわ)の西念寺(さいねんじ)に正道(しょうどう)法師(ほうし)というお坊(ぼう)さんがいました。

とても強くてつよくて力持ち(ちからもち)で馬(うま)を大変たいへんかわいがっていました。村むらの人ひとたちは正道(しょうどう)さんが馬(うま)に乗ってのって通とおると「念仏(ねんぶつ)正道(しょうどう)さんの馬がござった」といってはやしました。

正道(しょうどう)さんは毎日朝(あさ)のおつとめが終おわわると、愛馬(あいば)に乗って(のって)野洲(やす)川(がわ)のみを琵琶びわ湖この辺り(あたり)まで一直線いっちょくせんに下り(くだり)野洲(やす)川(がわ)の八つ(やつ)崎(さき)で馬(うま)に水(みず)を飲ませて(のませて)吉川(よしかわ)から戻るもどるのが楽(たの)しい日課(にっか)でした。

ある日のこと、いつもの道をハイ、シッ、ハイ、シッ、と走っていきました。
この辺り(あたり)には正道(しょうどう)さん所有(しょゆう)の野洲(やす)川がわから水(みず)を引く(ひく)「オヅルの樋(ひ)」があり、そこからは小川(おがわ)が流(なが)れだしていますが、その水門(すいもん)の辺り(あたり)で水がボクボクと噴出(ふきだ)しているのです。

馬上(ばじょう)の正道(しょうどう)さんの目(め)には、そこに何(なに)やら見た(みた)こともない怪物(かいぶつ)が見えた(みえた)のでした。

「不思議(ふしぎ)なことじゃわい」と思いながら正道(しょうどう)さんは馬(うま)から降おりて念仏(ねんぶつ)を唱(とな)えながら、怪物(かいぶつ)に近づいていきました。

そして正道(しょうどう)さんは、大きな声で
「これ、がわたろう(河童太郎)とはお前のことか!いつも吉川(よしかわ)の人々ひとびとをおどかしたり、祇園(ぎおん)祭(まつり)の日には人の尻(しり)に食くいついて血(ち)を吸(す)うたり、大変(たいへん)な悪(わる)さをしているとは何(なん)という事(こと)じゃ、わしと一緒(いっしょ)についてこい」
といって馬(うま)を引き寄ひよせました。

河童(がわ)太郎(たろう)は馬(うま)が好き(すき)ですし、正道(しょうどう)さんに言われたので素直(すなお)についていきました。正道さんはこの怪物(かいぶつ)を、お寺(てら)の入り口にある大きな松(まつ)の木にしばりつけて言いました。

「これ、お前(まえ)は人(ひと)の形(かたち)をしているが、顔(かお)や頭(あたま)は動物(どうぶつ)じゃ。それにお前は心の中まで動物(どうぶつ)の心(こころ)じゃ。だが動物(どうぶつ)のおまえでも念仏(ねんぶつ)をとなえる口は持もっている、目もちゃんとついている。これからわしが人の声(こえ)をきく耳をつけてやろう」
といって、縄(なわ)をほどいて本堂(ほんどう)につれて行きました。

そして河童がわ太郎たろうに
「がたろうよ、よーーく仏様を見ておがみなさい、仏(ほとけ)様(さま)は十方(じゅっぽう)衆生(しゅじょう)と呼(よ)んでいていてくださるのだよ」
と、なんどもなんども言い聞きかせました

聞く耳を持った河童(がわ)太郎(たろう)に、正道(しょうどう)さんの話す(はなす)仏(ほとけ)の心(こころ)が通(つう)じたのでしょうか、河童太郎はふかく頭をさげて目には涙(なみだ)がいっぱいでした。
そしてだんだん顔(かお)がやさしくなり、ほほえんだように見えました。

正道さんはたいへんよろこんで、念仏(ねんぶつ)をとなえながらいいました。
「がたろうよ、こんど生まれてくるときは、人間に生まれて仏(ほとけ)の教えをきいておくれ。」
といって縄(なわ)をはなしてやりますと、がたろうはふりかえり、ふりかえりしながら、どこかに行ってしましました。

それからというもの、吉川のはがたろうを見ることはなくなりました。水遊びをする子どもたちに悪さをすることもなくなり、村人たちは安心して仕事が出来るようになったといいます。 おわり

後日譚には、ガ太郎の頭の皿が割れているのを見たという話が世間の噂話になったという事です。吉川の松月山西念寺にはガ太郎松の切株が今も残っているらしい。仏の慈悲が悪性な河童にまで及んだという物語です。



https://www.facebook.com/events/376679812435375/


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■「ふるさと物語(語り部の会)~野洲川下流域周辺~

野洲川下流域周辺と、この地に暮らした人々との間には、たくさんの豊かな物語が生まれました。それは、日々の暮らしが自然と共にあったふるさとの物語」です。

「ふるさと物語」では、この守山・野洲周辺の土地に昔から伝わる魅力的な民話(昔話・伝承)と里唄(さとうた・わらべ歌・仕事歌)をご紹介します。そして、みなさんに懐かしい日本の原風景を感じていただこうと思います。

◆日時
11 月 17 日(日)10:00~12:00

◆場所
中山道街道文化交流館(筆忠・ふでちゅう JR守山駅から徒歩10分)
〒524-0022 滋賀県守山市守山1丁目8−14
Maps http://goo.gl/Arv50l

◆内容
・民話(30 分):お満灯篭、ゆうれいつぼ 、河童(がわ)太郎物語
・里唄(30 分):蛍、新庄来い、なむあみだぶつ、子守唄、正月になったれば、たにしのうた、大波小波、亥の子、杭打ち歌、臼すりうた
・交流(60分):昔遊び(コマ回し、おはじき、お手玉、折り紙)を体験してもらいながら交流
※当日一部内容が変更になることがあります。

◆対象
守山市・野洲市周辺にお住まいの方、お子さん・お孫さん・ひ孫さんとご一緒に参加できる方、とご一緒に参加できる方

◆参加費
無料

◆主催
おうみ未来塾12期生 おうみのふるさと物語プロジェクト

参加申し込みはこちら

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